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地面に太陽の光が当たらなくなり、下草も生えません。 その結果、土が乾燥し、木が弱ってしまうのです。
このような植林地帯を「緑のダム」に対して「緑の砂漠」と呼びます。 日本の多くの人工林は、地面は砂地でつるつる滑るし、ところによっては砂も流されてしまって、岩肌がむき出しになっています。

こうなると、根が岩にへばりついている感じになり、土をつかむことができなくなります。 そこに大雨が降ると、土砂崩れが発生して、一帯の森林が押し流されてしまうのです。
多種類の樹木と多くの生物が共生している原生林には、同じ種類の木は1ヘクタールに数本しか存在しません。 しかもその数本は離ればなれになっているので、病虫害が発生しても伝染しにくいのです。
また、原生林にはシダ類や草花などが共生して、密集しています。 木ノ実や果実なども豊富にあり、多くの昆虫、烏、動物が共生し、生物の声、羽音、ざわめきが聞こえ、大変にぎやかです。
このように原生林は、たくさんの樹木の周りに強固な生態系を形づくっているのです。 豊かな土をつくり、保水能力にもすぐれる原生林には落葉樹が多く動物も多いので、落ち葉や動物のフンや死体が微生物によって分解されます。
その結果、栄養分豊かな土がつくられ、それが木の成長のために使われるという循環によって生態系が維持されるのです。 また、豊かな土や葉が巨大なダムの働きをするため、保水力にもすぐれています。
光合成の能力と空気浄化の力が強い原生林には葉の面積が大きな広葉樹が多いので、二酸化炭素の吸収力、酸素の供給力つまり光合成の力が強いのは当然です。 また汚染物質の浄化能力が、人工林と比べてはるかにすぐれています。
人がむやみに介入するとダメになる原生林は人工林の反対だと考えると、「人手をかけるとダメになる」ということになります。 しかし、先住民族のように人手をかけてもダメにならないこともあります。
この原生林に人が介入し、食物連鎖を断ち切ると生態系全体が崩壊してしまいます。 こうなると、二度ともとの姿に戻すことはできません。
森林破壊の実態とその影響。 これまで、人工林と原生林を比較してきましたが、特に原生林の破壊が深刻な事態を引き起こすことは明らかだと思います。
現実問題として、その原生林がどんどん失われているのです。 乱開発や過剰伐採のために、すでに世界の原生林の80パーセント近くが失われました。

緑豊かに見えるヨーロッパでは原生林はすでに全滅していて、現存するのは全部人工林なのです。 アメリカでも原生林は15%しか残っていません。
世界では、この20年間で日本の面積の10倍もの森林が失われ、そのうち半分が砂漠化しました。 特に、次の図のように、中央アメリカ、東南アジア、アフリカ、アマゾンなどで原生林が大規模に破壊されています。
たとえばアマゾンでは、1978年から96年までにフランス1国分の面積に匹敵する50万平方キロの熱帯林が消失しました。 これはアマゾンの熱帯雨林の12.5%に相当します。
現在、1年間に日本の3分の1から半分の面積に相当する森林が、地球上から消えています。 これは成長量の10倍の速さで失われていることに相当します。
このままでは、100年以内に世界の原生林が全滅する恐れがあります。 しかも、温暖化や酸性雨で木が枯れたり、木材の消費量が増えると50年とか30年で全滅してしまうかもしれません。
この20年で、世界でインド全土の耕地に相当する5000億トンもの表土が流失してしまいました。 特に熱帯地方では、もともと肥えた土というのは10センチくらいの厚みしかありません。
非常に暑いので、落葉したり、動物が死んだりしても、すぐに腐って分解してしまい、土ができるひまがないのです。 何千年もかかって、やっと10センチくらいの土ができますが、森林伐採後の大雨で、いとも簡単に流失してしまうのです。

原生林がなくなると、豊かな土が流される、水を保つ力がなくなって水が枯渇する、二酸化炭素を吸収できなくなって地球温暖化が進む……。 こんなことになれば、確かに人間にとって大変な時代になるでしょう。
しかし、地球全体の生命維持システムが崩れるわけですから、人間だけではなく、生物種の大量絶滅にもつながっていくでしょう。 また、表土が流出するというのは、よく肥えた土がなくなってしまって、農業ができなくなるということを意味します。
近い将来、確実に農業生産にも影響し、人口爆発のことを考えると、深刻な食糧危機に見舞われる可能性があります。 森林破壊の原因先進国による商業伐採と乱開発1960年代以降、特に先進国の人たちによって建築用資材として、あるいは紙をつくるための商業伐採が行われてきました。
また、工場建設・農地化・リゾート開発・換金作物栽培のための乱開発などによって、森林破壊がますます加速しています。 無計画に行われる焼畑農業一一森林破壊のもうひとつの大きな原因として、「焼畑農業」があげられます。
人類は森に住み着いて以来、何千年にもわたって伝統的な「焼畑農業」を行ってきました。 そこでは、見事なまでに森林の再生サイクルを知り尽くした方法をとっていました。
それは、「ある一定の区画を焼いて農地にして数年耕作した後、今度はとなりの区画を焼いて農地とし、そして数年後にまたそのとなりを焼き……元に戻ってきたときには見事に森林は再生している」というような計画的な焼畑農業です。 ところが、いま森林を破壊し続けている焼畑は、まったく無計画に行われているのです。
南米や東南アジアでは、数%の大地主が大部分の土地を独占していて、貧しい人々を森林に追いやっています。 追いやられた人々は、生きていくために本来の伝統的な「焼畑農業」の知識なしに、次々に森林を焼き払っていくことになります。
つまり、問題は無計画な焼畑農業にあるのです。 牧草地にするための先進国による焼畑無計画な焼畑は、先進国によっても行われてきました。

たとえば、ハンバーガー用の肉を作るために、アマゾンや中央アメリカの熱帯林を大規模に焼き払って、牛の放牧地に変えてしまいました。 ただし、熱帯林を放牧地に変えたとしても、10年もたたないうちに土がやせたり、流出したりして、牛を育てることができなくなります。
そのために、安い肉を確保し続けようと、次々に熱帯林を焼き払うことになるのです。 タイやマレーシアの河川の河口付近には、マングローブ林という塩水でも生きていける樹木帯が広がっています。
ここではマングローブ林を切り開いてエビの養殖が行われており、特に日本へ大量に輸出しています。 養殖を数年間続けると、海水中の栄養分がなくなり、やがてエビが採れなくなります。
そのために、養殖場を広げなければならなくなります。 こうして、次から次にマングローブ林が伐採されていくことになるのです。
ダムの建設も森林破壊の原因になっています。 ダムが建設されるのは、大きな保水能力がある森林地帯です。
ところが人間は、この自然のダムである森林地帯を切り崩し水没させて、巨大な人工のダムをつくっています。 しかも、ダムの上流では建築材や紙をつくるために、大量の森林が伐採されています。
このため上流で降った雨が、むき出しになった土砂を洗い流してダムに流れ込みます。

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